上司の心の声
最近の若手は、自分たちみたいにがむしゃらに働いてくれないなぁ。
若手の心の声
上司みたいに、残業とか休日出勤してまで給料上げたいとは思えないよ。何よりプライベートの方が大切だし。
このように世代ごとに考えが違うため、仕事に対する姿勢の違いが生まれていることがあると思います。
「モチベーション革命」には、このような世代ごとのモチベーションの違いが、わかりやすく説明されています。
社会人として働く人は、読んでおいて損はない一冊です。
目次
「乾いている世代」と「乾けない世代」
本書の中では、上司の世代を「乾いている世代」、若者の世代を「乾けない世代」と呼んでいます。
「乾いている世代」
「乾いている世代」は、戦後復興していく中で、身の回りにないものを埋めていくことがモチベーションになっていました。
「世の中の空白を埋めるように」仕事をすることで、何かを達成しながら、同時に社会貢献にもつながっていたのです。
つまり、与えられたことをやって、必死に達成を追い求めれば幸せも付いてきた世代とも言えます。
「乾けない世代」
一方で「乾けない世代」は、「乾いている世代」が一生懸命に空白を埋めてきてくれたおかげで、生まれた時から埋めるべき空白がない世代です。
そのため、仕事をすることで何かを達成しても、社会貢献にはつながりにくくなっています。
生まれたときから何でもそろっていることは、普通に生活するには幸せなことです。
しかし、仕事を考えたときには、与えられたことをやっていてもモチベーションは上がりにくい。
そのため、何が楽しいか?何がやりたいか?を常に考えて、自分で決めていかないと幸せになりにくい世代です。
人には5つの幸せ(モチベーションの元)の種類がある
モチベーションを上げるには、仕事をすることで幸せにつながるかが重要です。
人間の幸せには5つの種類があります(心理学者マーティン・セリグマンが唱えたもの)。
- 達成
- 快楽
- 意味合い
- 良好な人間関係
- 没頭
この5つの幸せの中で、乾いている世代は「達成」「快楽」の2つを重視し、乾けない世代は「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」の3つを重視しているとのこと。
社会が大きく変わったことで、仕事に対するモチベーションも変化しているということですね。
この違いを理解しないと、上司は「定時になるとすぐに帰ってしまう若者」を理解できないし、若者は「残業・休日出勤当たり前で働く上司」を理解できません。
若者の世代の視点から、例を2つあげましょう。
1. 意味合いを大切にする若者
例えば、規模が大きいプロジェクトに参加した場合。
乾いている世代からしたら、非常にやりがいがあり、達成することが最大のモチベーションになるでしょう。
しかし、乾けない世代からするとプロジェクトの規模が大きくなりすぎると、次のように感じてしまいます。
- 誰の役に立っているか分からない
- 仕事の成果が実感しにくい
- 自分以外でもできる仕事のなのでは?と考えてしまう
僕も大きいプロジェクトの仕事をするよりも、ユーザーと直接やりとりできる小さいプロジェクトの方がやりがいがありました。
(会社としては利益が出にくいので困ると思いますが。笑)
ユーザーの困っていることを解決できれば、自分の仕事が役に立っていると実感できます。
そのときにユーザーの声を直接聞けることが、一番のモチベーションになってました。
感謝されたときは素直に嬉しくて、仕事やっていてよかったと思う瞬間でした。
大きいプロジェクトになると、ユーザーとの距離が離れていきますよね。
そうなると、自分の仕事の意味合いを感じにくくなります。
この「意味合い」の認識の違いが、大企業でも若者が辞めていく理由になっている気もします。
2. 会社の飲み会よりもプライベートを優先する若者
「若者が飲み会に来ない」なんて話をよく聞くようになりました。
これは「意味合い」「良好な人間関係」が関係しているでしょう。
若者も全ての飲み会に行きたくない、というわけではないんですよね。
ただ、「飲み会に行くことに意味を感じない」、もしくは「会社の飲み会よりも大切な人間関係がある」場合には行かないことがあります。
楽しいと分かっている飲み会だったら行きますからね。
飲まされたり、気疲れしそうな場合には、ちょっと遠慮しておきます…となるわけで。
社会の変化とモチベーションの変化
社会が大きく変わる中で、人のモチベーションも変わってきました。
生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的な物でもない。それは、変化に最もよく適応したものである
というダーウィンの言葉にあるように、乾いている世代が乾けない世代を理解することが、今後の社会には求められることになります。
個人の働く意味合いを重要視する
上司と若手が面接をするときに、若手の働く意味合いを聞き出して、それが叶うような仕事をさせることが重要だと思います。
(会社という組織なので、全ての仕事でそのようにするのは難しいとは思いますが…。)
そして、その後も継続的にフォローをしてあげて欲しいです。
週に5分でもいいから、今の仕事に対するモチベーションはどうかを聞いて、意味合いから離れていないか確認してあげる。
そこでずれていたら仕事を調整して、働く意味合いを重要視してあげるといいのではないでしょうか?
半期に1回の評定面接だけでは、若手の気持ちがどうなっているかなんてほとんど分からないでしょうからね。
そのときには、すでに会社から気持ちが離れていたら遅いですから。
まとめ
社会が変化する中で、モチベーションも変化しました。
乾いている世代が(上司世代)が「達成感」「快楽」をモチベーションにしていたのに対し、
乾けない世代(若者世代)のモチベーションは、次のことになっています。
- 意味合い
- 良好な人間関係
- 没頭
関連記事

関連書籍