
生きづらいと感じながら生きている人
職場(もしくは学校)では、自分らしくいることができないんだよね。
特定の場面になると、自分らしくいることができない。
人によってその時期は違うと思いますが、このような経験は、多くの方がしてきているのではないでしょうか?
ちなみに僕は学校でも職場でも経験してます。笑
本書「私とは何か」は、この悩みに対して「分人」と言う、ひとつの考え方を提示してくれます。
僕自身、この本を読んで「分人」の考え方をすることで、だいぶ気持ちが楽になりました。
目次
「本当の自分」と「ウソの自分」はいない
友人といるときには言いたいことを言えているのに、職場(もしくは学校)に行くと空気を読んで言いたいことを言えない。
このようなとき、友人といるときの自分が「本当の自分」で、職場(もしくは学校)にいるときの自分が「ウソの自分」と感じたことはないでしょうか?
1回でも職場(もしくは学校)にいるときの自分は「ウソの自分」だと思い始めると、「本当の自分」を探すためにもがくことに。
この場所では「本当の自分」を出せない…。と。
「本当の自分」と「ウソの自分」の矛盾
本書では、「本当の自分」と「ウソの自分」の考え方には矛盾が生じると言っています。
例えば、居心地のいい友人と、居心地のいい恋人がいる場合を考えてみましょう。
友人といるときと、恋人といるとき、全く同じように考えて、話しているでしょうか?
恋人といるときのイチャイチャした感じを友人に出せるでしょうか?
おそらく、考え方も話し方も違いますよね。友人の前では、恋人といるときのイチャイチャした感じを見せたくないでしょう(僕は絶対見せたくない)。
このような場合に、どちらが「本当の自分」でどちらが「ウソの自分」なのでしょう?
どちらも「本当の自分」ですよね。
このように考えると「本当の自分」と「ウソの自分」という考え方に矛盾が生じます。
この矛盾を解消するのが「分人」という考え方です。
私とは何かから学ぶ「分人」の考え方

生きづらいと感じながら生きている人
いきなり「分人」と言われても、全然イメージできないよ。
次で具体的な説明をするので、少し我慢して読んでみてください。
自分は複数の「分人」から成り立っている
「本当の自分」と「ウソの自分」では、職場にいるときには「ウソの自分」で友人・恋人といるときには「本当の自分」のように、会う人や環境によって、「本当の自分」と「ウソの自分」が現れました。
一方で「分人」の考え方とは、職場にいる自分も、友人といる自分も、恋人といる自分も、全て「本当の自分」である、と考えます。
イメージ的には「本当の自分」を1として、分人は分数と考えてください。(分人を全て足し合わせると1になる)。
別な言い方をすると、ひとりの人間は、複数の分人から成っているという考え方です。
「分人」の数は人によって異なる
ここで、複数というのは、人によって異なります。
いろんな環境に属していたり、友人が多い人は、分人の数が多くなります(分数の分母が大きくなる)。
一方で、反対の人は分人が少なくなる(分数の分母が小さくなる)。
これまでの例では、人との間で分人が生まれると書いてきましたが、新しい分人が生まれるのは、人や環境だけではありません。
例えば、自分の好きなことをしているときにもそれぞれ分人が生まれます。
音楽を聴いているとき、映画を見ているとき、趣味をしているときなど。
考えてみると「確かに」と思うことがあると思います。
ゲームをしているときには勝ち負けにこだわって熱くなっていたのに、音楽を聴いているときには穏やかな気持ちになっていることがあります。
「分人」ごとに大きさは異なる
「分人」考え方で重要なポイントは、分人によって大きさは異なる点です。

生きづらいと感じながら生きている人
ますます意味わからないよ…。
具体的な値を使って説明します(数字嫌いな人はもう少し我慢ねがいます)。
例えば、仕事が忙しくてプライベートな時間があまりない人の場合をA, B, Cという3つの分人から成り立っていとします。
分人によって比率が異なるとは、以下のようなことです。
- A:1/5(友人といるときの分人)
- B:1/5(恋人といるときの分人)
- C:3/5(職場にいるときの分人)
AとBは同じだけど、Cは大きい。
なぜかというと、職場にいる時間が長くなるため、どうしてもCの分人の比率が大きくなりますよね。
少し思い出して欲しいのですが、仕事が忙しくてプライベートの時間が取れないとき、どんな感じになったでしょうか?
職場での自分が、友人や恋人といっしょにいるときにも出てきたことはないでしょうか?
主にイライラとか。
つまり、分人の比率によって自分自身の性格にも影響が出てくるのです。
大切なのは「分人」のバランス
ここまでの「分人」の説明のおさらいをします。
- 「本当の自分」を1として、分人は分数のイメージ(分人を全て足し合わせると1になる)。
- 分人の比率によって個性も変化する。
ここでようやく、「分人」の考え方が生きづらさを減らすのに役立つことを説明できます。
生きづらいと感じている人の場合、生きづらいと感じてしまう分人の比率が大きくなっている状態と考えられます。
生きづらいと感じている人の対処法
分人の考え方を利用して、生きづらさを減らすことを考えると、生きづらいと感じる分人の比率を小さくすればいいんですね。
ある分人の比率を小さくするには、次の3つの方法が考えられます。
- 生きづらいと感じる分人の比率を小さくする
- すでにいる他の分人の比率を大きくする
- 新しい分人を作る
僕は3つ目の、新しい分人を作るのがいいと思います。
理由は、次のふたつです。
1の場合、相手を変えなければいけない場合があると思います。
例えば、上司との相性が悪くて悩んでいるとき。
上司を変えることはかなりの労力がかかりますよね。
というよりも、いくら労力を費やしても変わらない場合がありえます。
2の場合は、いい方法だとは思うのですが、長い目で見るとあまりおすすめしません。
というのも、比率を大きくした既存の分人に依存してしまう可能性があるからです。
その分人がなくなってしまった場合に、生きづらい分人の比率が再び大きくなってしまいます。
そのため、新しい分人を作ることが良いと考えます。
新しい分人は趣味でも作れる

生きづらいと感じながら生きている人
人付きあいは苦手だし、そんなに簡単に新しい分人なんて作れるのかな。
新しいコミュニティに属すれば、環境も人も新しい出会いがあるので、新しい分人も作りやすいと思います。
しかし、それが難しい人もいますよね。
僕も人見知りで、人がたくさんいるところに行くと、何を話したらいいか分からなくなってしまいます。
そのため、新しい場所に参加するのはとても勇気がいります。
ただ、「分人」ごとに大きさは異なる でも紹介しましたが、新しい趣味を始めることでも分人は生まれます。
僕の場合は、とりあえず色んなことをやってみました。
その中でも今でも続いて、新しい分人となっている(心を整えるのに役立っている)と思うのは、次の3つのときです。
散歩をする、編み物をする、カフェに行く。
これらのことをやっていると、気持ちが切り替えやすくなったり、そのことに没頭することができるので今でも続けています。
分人はうつ病を防ぐことにも役立つ
うつ病を防ぐには、所属するコミュニティを増やした方がいい。という話を聞いたことがありますが、理由がいまいち分かりませんでした。
しかし「分人」の考え方を知ると、なるほど!と思えるようになりました。
所属するコミュニティを増やすということは、分人の数を増やすことになります。
つまり、それぞれの分人の比率が小さくなるんですね。
例え職場でつらいことがあったとしても、他の分人がいるおかげで、職場での分人の比率が大きくなるのを防ぐことができる。
こうした理由から、うつ病を防ぐことにも役立つのかなと思います(あくまでも個人の思ったことです)。
まとめ
「分人」についてまとめると以下になります。
- 「本当の自分」を1として、分人は分数と考える
- 分人ごとに大きさが異なる
- 生きづらい人は分人のバランスを考える
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